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M&Aの費用 ソフトバンクグループでM&Aの費用の税務処理のニュース

2023年1月24日のニュースで、ソフトバンクグループでM&A費用の税務処理について、税務当局と見解の相違があり、税務調査で指摘された旨の記事が掲載されました。

 

記事の内容から会社がどのような事実をどのような処理をしたか判断すると

M&Aを行うにあたって、デューデリジェンス(財務調査や法的調査等)費用や弁護士費用を費用計上した。

税務当局は

デューデリジェンス費用や弁護士費用を株の取得価額に算入すべき

とした。

 

さて、M&Aを行う上で、買収する会社にどのようなリスクがあるか確認しないと、買収後に非常に大きな出費が生じることがあります。また、本来であれば、リスクのために低い価額であるはずが、高い価額で株を購入することになります。

 

このリスクを確認するために、デューデリジェンス等を行います。

(小さい会社でもM&Aがある場合には、デューデリジェンスをしましょうね。ただ、デューデリジェンスをしても、すべてのリスクが分かるわけではありませんが。。。)

 

このデューデリジェンス等の費用は、デューデリジェンス等を行った時に費用計上できるのでしょうか。それとも、買収した会社の取得価額になるのでしょうか。

 

会計上の考え方は、企業結合に関する会計基準により

取得関連費用(外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等)は、発生した事業年度の費用として処理する。

として、費用計上しなければなりません。

(一般に公正妥当と認められる会計基準の処理です。)

 

では、税務ではどうでしょうか

法人税法上規定がない場合には、一般に公正妥当と認められる会計基準に拠ることになります。

 

法人税法施行令第百十九条では

内国法人が有価証券の取得をした場合には、その取得原価は、次の各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 購入した有価証券 その購入の代価

(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)

となっており、付随費用も含めることになります。

 

今回のソフトバンクグループでは、会計処理は費用計上し、税務処理では、その部分を税務調整しなかったのではないでしょうか。

(実際、そうだあったかはわかりませんが。。。)

 

なお、税務上、デューデリジェンス等の付随費用はどこまでを含むという議論もあります。

 

・買収するかどうか、まだ、決まっていないが、買収するかどうか判断するためにデューデリジェンス等を行った時に費用はどうなのか。

・複数の会社から1社を選ぶときに行ったデューデリジェンス等の費用はどうなのか

などなど。

 

一概に、これでOKという決定打はありませんが、ある程度の判断基準としては

・最終的なデューデリジェンス等の費用は取得価額。そうでない場合は費用計上

となるのではないでしょうか。

 

よく

・取締役会等の会社の決定をするところで買収しようと判断した時点

を基準として、費用計上か、取得価額計上か

ということもあります。

(判断前は費用計上で判断後は取得価額計上)

 

しかし、その判断前に十分デューデリジェンス等を行って吟味し、判断後にデューデリジェンス等を行わなかった場合には、本来、判断後に行うデューデリジェンス等を判断前に行ったとして取得価額に計上すべきだと思います。

また、複数の会社から1社を選ぶ場合でも、同様に考え、1社を選んだ後デューデリジェンス等をさらに行うのであれば、選ぶ前のデューデリジェンス等は費用計上でいいでしょうし、もし、1社を選んだ後デューデリジェンス等を行わないのであれば、選んだ1社に関するものは取得価額に計上し、残りは費用計上になると思います。

 

付随費用については、一般に公正妥当と認められる会計基準と税務上の規定が違っていますので、留意が必要です。

 

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