使用人兼務役員の従業員分の退職金(タックスアンサー No.5203 使用人が役員へ昇格したとき又は役員が分掌変更したときの退職金) その2
従業員から役員に登用されたとき従業員の退職金の扱いはどうなるのでしょうか。
従業員から役員に登用されたあとの状況や支給の仕方によって変わってくると思います。
従業員から役員に登用されたあとの状況
・従業員が通常の役員(使用人兼務役員にならなかったとき)になる
・従業員が使用人兼務役員になる
支給の仕方
・従業員から役員に登用されたときに従業員分の退職金を支給
・使用人兼務役員から通常の役員になったときに従業員分の退職金を支給
・最終的に役員を退任したときに役員退職慰労金と合わせて従業員分の退職金を支給
<ケース3>
・従業員が使用人兼務役員になる
・従業員から役員に登用されたときに従業員分の退職金を支給
タックスアンサーに記載のとおり、従業員が役員に昇格した時、退職給与規程に基づき、従業員であった期間の退職金として計算される金額を支給したときは、その支給した事業年度の損金の額に算入されます。
なお、要件には退職金規程に基づきとあることから退職金規程がなければ、従業員分の退職金ではなく役員報酬に該当し、定時定額や事前確定給与に該当しなければ、役員賞与として取り扱われる可能性があります。(退職金規程がない場合については、あくまでも、可能性です。退職金規程なない場合でも、他の従業員と同等の退職金であれば認められる可能性もありうると思っています。)
<ケース4>
・従業員が使用人兼務役員になる
・使用人兼務役員から通常の役員になったときに従業員分の退職金を支給
タックスアンサーに記載のとおり、次の2つの要件を満たしていれば、その支給した事業年度の損金の額に算入されます。
要件 1
過去、従業員から使用人兼務役員に昇格した人(使用人であった期間が相当の期間であるものに限ります。)で、その昇格をした時に従業員であった期間に係る退職金の支給をしていないこと。
要件 2.
支給した金額が従業員としての退職給与規程に基づき、従業員であった期間および使用人兼務役員であった期間を通算して、従業員としての職務に対する退職金として計算され、かつ、退職金として相当な金額であると認められること。
したがって、従業員が使用人兼務役員になったときに、従業員分の退職金を支給した場合には、上記の要件1に該当しないため、従業員分の退職金ではなく役員報酬に該当し、定時定額や事前確定給与に該当しなければ、役員賞与として取り扱われることになります。
なお、要件2には退職金規程に基づきとあることから退職金規程がなければ、従業員分の退職金ではなく役員報酬に該当し、定時定額や事前確定給与に該当しなければ、役員賞与として取り扱われる可能性があります。(退職金規程がない場合については、あくまでも、可能性です。退職金規程なない場合でも、他の従業員と同等の退職金であれば認められる可能性もありうると思っています。)
<ケース5>
・従業員が使用人兼務役員になる
・最終的に役員を退任したときに役員退職慰労金と合わせて従業員分の退職金を支給
タックスアンサーには直接記載はありませんが、
「法人の使用人が役員に昇格した場合において、退職給与規程に基づき、使用人であった期間の退職金として計算される金額を支給したときは、その支給した事業年度の損金の額に算入されます。ただし、未払金に計上した場合には損金の額に算入されませんので注意してください。」
と但し書きに「未払金に計上した場合には損金の額に算入されませんので注意してください」と記載されています。
これを逆説的に考えると、従業員から役員に就任して、その時に従業員分の退職金を実際に支給せず未払計上では損金算入と認めないが、役員を退任したときに支給するのであれば損金算入に認めますと読むことができると思います。
したがって、ケース5の場合には損金算入ができると思います。
なお、これも退職金規程がない場合には要件に該当しなくなるので、従業員分の退職金ではなく役員退職慰労金として取り扱われる可能性があります。(退職金規程がない場合については、あくまでも、可能性です。退職金規程なない場合でも、他の従業員と同等の退職金であれば認められる可能性もありうると思っています。)
(タックスアンサー No.5203 使用人が役員へ昇格したとき又は役員が分掌変更したときの退職金)
No.5203 使用人が役員へ昇格したとき又は役員が分掌変更したときの退職金|国税庁 (nta.go.jp)
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