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医療法人の出資持分の評価-定款に出資の払戻し等について対象財産を制限する旨の定めがある場合、出資持分の評価はどうなる?- 025 (平成23年3月)

東京国税局課税第一部国税訟務官室では、税務署職員に対して「調査に生かす判決情報」と題して「調査手続」や「証拠の収集と保全」など調査等に役立つポイントについて、具体的事例や判例を紹介しながら、数回に分けて発信しています。

すべてが正しいとは思えませんが、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と言います。税務署がどのように考えているのかを知ることは重要です。

 

納税者意識の高まりを受けて、課税処分の所得金額の争いにとどまらず、調査手続の違法性を併せて争う事例が増加していることから、税務署に以下のように注意喚起をしています。

 

<参考判決 最高裁平成22年7月16日第二小法廷判決>

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<医療法人の性格と出資社員の権利>

医療法人は、相当の収益を上げ得る点で一般の私企業とその性格を異にするものではなく、その収益は法人内部に蓄積され得る。そして、出資社員に対する財産の分配については、医療法54条(剰余金の配当禁止)に反しない限り、法人が定款で定め得るのであって、出資社員が出資額に応じて退社時の払戻しや解散時の残余財産分配を受けられる旨の定款の定めがある場合、特段の事情のない限り、出資社員は、その出資割合に応じて当該法人の財産から払戻し等を受ける権利を有する。

<定款に法人財産の一部を払戻し等の対象とする旨の定めがある場合の出資持分の評価>

仮にある時点における定款の定めにより払戻し等を受け得る対象が財産の一部に限定されるなどしていたとしても、出資社員は、法令で許容される範囲内において定款を変更することにより、財産全体につき自らの出資額の割合に応じて払戻し等を求め得る上記権利に係る潜在的可能性を有するから、持分の定めのある社団医療法人の出資は,定款の定めのいかんにかかわらず、当該可能性に相当する価値を有するということができる。したがって、特別の事情が存しない限り、詳価通達194-2の定めによって評価することには合理性がある。

<医療法人の出資の引受けと相続税法9条の適用>

医療法人の出資を、その価額に比して著しく低い対価で引き受けたときには、当該経済的利益に対して相続税法9条(みなし贈与)の適用がある。

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特殊な事案についての説明です。

 

医療法人の出資持分の評価の話で、さらに、医療法人の制度もこの当時と変更され、あまり一般的ではありません。