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法人税において債務者の債務超過の状態を判断する際、土地の時価はどう計算するのか?-貸倒損失の計上の可否- 013 (平成19年12月)

東京国税局課税第一部国税訟務官室では、税務署職員に対して「調査に生かす判決情報」と題して「調査手続」や「証拠の収集と保全」など調査等に役立つポイントについて、具体的事例や判例を紹介しながら、数回に分けて発信しています。

すべてが正しいとは思えませんが、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と言います。税務署がどのように考えているのかを知ることは重要です。

 

納税者意識の高まりを受けて、課税処分の所得金額の争いにとどまらず、調査手続の違法性を併せて争う事例が増加していることから、税務署に以下のように注意喚起をしています。

 

<参考判決 東京地裁平成19年9月27日判決(納税者の請求棄却・■■■■)>

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債務者の所有土地につき①路線価を基にして0.8で除した価額を時価相当額とみなし、また、②固定資産税評価額を基にして0.7で除した価額を時価相当額とみなして債務超過の状態を判断したことは相当性を有する。

▼ 納税者が貸倒損失の計上に当たり、債務者の債務超過の状態を判断する際に、債務者の有する土地の評価を路線価及び固定資産評価額により行うことは、認めらない。

○ 相続税における時価法人税における時価は、異なる。

○ 固定資産税における時価法人税における時価も、異なる。

○ 路線価は、地価公示価格と同水準の価格の80%程度を目途に定めている。

○ 固定資産税評価額は、地価公示価格と同水準の価格の70%程度を目途に定めている。

▼ 債権放棄通知による貸倒損失の計上後、当該貸倒損失の否認を受けたために、債権放棄通知書の撤回をした場合においても、当該貸倒損失の否認には影響を及ぼさない。

○ 書面による債権放棄の場合は、必ずしも当事者間の協議により締結された契約による必要はなく、債権者たる法人が債務者に対して書面により債務免除の事実を明らかにしていれば足りる。

○ 債権者が債務者に対して書面により債権放棄(債務免除)をした場合であっても、その債権放棄がその債務者に対する贈与と認められるものであるときは、貸倒損失として単純な損金算入は認められず、別途、寄附金の損金算入限度額を計算することとなる。

○ 債務者に対して書面により債権放棄をした後に、貸倒損失の否認を受けたため、その債権放棄通知書の撤回をした場合であっても、当該貸倒損失の否認には、影響を及ぼさない。

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土地の時価について注意喚起をしたものですが、税務職員や税理士にとって、税法によって時価の考え方が違うということに違和感を感じない方が多いのです(私は違和感がありすぎるのですが。。。)が、一般の納税者は、時価がたくさんあり、その時価でも乖離が激しすぎることに違和感を感じる方が多いともいます。

 

少なくとも、法人税の土地における時価の算定については

1.路線価を基にして0.8で除した価額を時価相当額

2.固定資産税評価額を基にして0.7で除した価額を時価相当額

であれば、認められると思います。

(ただし、これも絶対ではありません。鑑定評価で課税庁は勝負してくることもありますので。。。)

 

 

また、後出しジャンケンのように、契約を破棄したり、無効にしたりしても、当初の取引については修正しないとも言っています。

 

取引を遡って修正することは困難ですので、特殊な取引をする場合には、法的な面もありますが、税務上の面も含めて十分慎重に検討して、決定してください。

 

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