税務調査は怖くない

税務調査を怖いと思っていませんか。税務調査は健康診断と同じです。普通にしていれば恐れることはありません。税金相談、税務調査の対応などを ご希望の方は wonozeimu@gmail.com までお気軽にご連絡ください。

会社の代表者と会社との不動産賃借料(令和2年4月21日裁決の一部抜粋)

会社の代表者と会社との不動産賃借料(令和2年4月21日裁決の一部)

 

会社の代表が保有する不動産を会社に賃貸することはよくあります。

きちんと賃貸借契約書を作成して賃料のやり取りをしていればいいのですが、中小企業では初めの賃貸借契約書を作成しても、なかなか更新の賃貸借契約書や覚書を作成することを忘れ、賃料の減額等を行うことがあります。

会社代表者に対する所得税の税務調査では、賃貸借契約書や覚書等の資料が何もなく賃料の減額等を行った場合、減額分を収入の減額と認めてもらえない場合があります。

しかし、すべての減額が認められないということはなく、きちんとした理由があれば、減額したものと判断されることもあります。

令和2年4月21日裁決事例では、きちんとした理由があったことにより、契約書等がなくても減額したことが認められています。

 

(状況)

A会社代表者がA会社と平成22年6月15日に以下の賃貸借契約を結びましたがそれ以後更新の契約書や覚書は結んでいませんでした。

  A 契約期間  平成22年7月1日から平成24年6月30日までの2年間

  B 賃料  月額金○○○○円

A会社はA会社やA会社の代表者と関係のないB会社に平成26年9月11日から平成29年9月10日までの賃貸借契約を結び、平成29年12月31日に合意契約により終了するまで賃貸借を行っていました。ただし、A会社とB会社の間で平成27年10月1日から賃料減額の合意をし、さらに平成29年5月1日から賃料減額の合意と2度減額の合意をしています。

この契約変更によって、A会社代表者とA会社との賃料の受払においては、当初の契約書に記載されている賃料ではA会社の収支が赤字となってしまう状況になりました。

そのため、A会社代表者とA会社はA会社が支払う賃料を減額して、A会社の収支が赤字にならない賃料を支払っていました。

 

(税務署の主張)

A会社代表者とA会社との間には平成24年7月1日以降の賃貸契約について、更新の契約書や覚書はないが、更新をしているのであるから当初の契約書に記載している賃料で収入計上しなければならない。

 

(不服審判所の判断)

A会社がA会社代表者に当初契約書の記載されている賃料で支払った場合A会社の収支が赤字になってしまうのであるから、変更の契約書や覚書がないとしても賃料の減額が実際にあったとすることが相当であると判断しましました。

 

(税務調査でやるべきこととは)

賃料変更の契約書や覚書がないとしても、合理的な理由があるのであればあきらめず、合理的な理由を客観的な数値に置き換えて税務調査の時に説明する。

 

(日々でやるべきこととは)

そもそも会社代表者と会社との間の取引については、契約書があったとしてもいくらでも調整を行うことができると税務署は考えているので、少なくとも形式上は契約書等の作成及びその契約書に従った金銭のやり取りを適時に行うことが必要です。

 

裁決

(令和2年4月21日裁決)| 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所 (kfs.go.jp)

 

 

・税金相談
・税務調査の対応などを
ご希望の方は
wonozeimu@gmail.com
までお気軽にご連絡ください。