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税務訴訟の弁護士費用(平成28年5月30日裁決の一部)

所得税では、必要経費に算入することができるものは、売上原価や直接要した費用、販売費、一般管理費や収入を得るため業務について発生した費用の額となります。

売上原価や直接要した費用は、比較的明確に必要経費として認められるものと認められないものと区別することができます。

しかし、販売費、一般管理費や収入を得るため業務については、本当のその収入を得るために支出したものなのかどうかの判断が難しいことがあります。

今回のケースは、税務訴訟の弁護士費用が必要経費として参入することができるかどうかが問題となりました。

 

(状況)

Aさんは、平成25年12月20日に、平成○年分、平成○年分及び平成○年分の○○の取消しを求める訴訟の事務処理を委任する弁護士Bさん及び弁護士Cさんに対し、当該委任事務処理の対価として合計○○○○円を支払った。

 

(税務署の主張)

弁護士費用は、平成○年分以前の税務訴訟に係る弁護士費用であり、各年分より前の年分の紛争に係る弁護士費用であるから、Aさんの事業とは関連性はない。

したがって、弁護士費用は、Aさんの事業所得の総収入金額を得るため直接に要した費用及びその年における事業所得を生ずべき業務について生じた費用に該当しないことから、Aさんの事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができない。

 

(Aさんの主張)

弁護士費用は、賃貸借契約に基づく賃料を問題として、税務裁判に係る弁護士費用である。裁判は、事業所得に係る「地代家賃・賃借料」に関連した裁判であるから、裁判に係る弁護士費用は、事業関連支出である。

したがって、弁護士費用は、業務に直接関連した費用であり、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。

 

(不服審判所の判断)

所得税法では、事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額について、事業所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他事業所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする旨規定している。この「事業所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、当該業務と直接関係し、かつ、当該業務の遂行上必要なものでなければならないのであり、また、費用に該当するか否かの判断は、単に業務を行う者の主観的な動機又は判断によるものではなく、当該業務の内容や、当該支出の趣旨又は目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に行わなければならない。

弁護士費用は、Aさんが過去の年分の税務訴訟に係る委任事務処理の対価として支払ったものであるから、各年分の事業所得と何らの対応も存せず、事業所得の収入を得るために直接要した費用ではない。

 また、税務訴訟は、過去の年分の○○を争う訴訟であり、当該訴訟が事業所得に係る地代家賃等に関連し、その結果によって、請求人の事業所得の金額に影響を与える可能性があるとしても、当該影響は反射的なものにすぎないから、税務訴訟に係る支出である弁護士費用は、Aさんの事業所得を生ずべき業務と直接関係するものということはできず、かつ、その業務の遂行上必要なものということもできない。

したがって、弁護士費用は、Aさんの平成25年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。

 

(日々でやるべきこととは)

日々できることは特にありません。

なかなか業務との関連性の説明ができませんので、税務訴訟の弁護士費用はさすがに必要経費とするのは、難しいと思います。

 

裁決

(平成28年5月30日裁決) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所 (kfs.go.jp)

 

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