消費税の扱い 就労継続支援B型事業所が障害者に支払うお金は業務委託の支払か、単純な給付か ニュース
2023年1月6日のニュースで、就労継続支援B型事業所が障害者に支払うお金は作業に応じた業務に対する対価なのか、就労訓練を行う福祉サービスに伴ってお金を渡す給付に過ぎないのかという記事が掲載されました。
これでは、何が議論なのか分からないので、この記事の前提を説明すると
・これは消費税に関する税務訴訟の話
・消費税は、作業に応じた業務に対する対価であれば消費税は課税されることになり、支払った方(就労継続支援B型事業所)はその支払った金額に応じ、消費税を申告する時にその額を控除することができる。一方、作業に応じた業務に対する対価でなく福祉サービスに伴ってお金を渡す給付や給与であれば消費税は課税されず、支払った方(就労継続支援B型事業所)は、申告する時に控除することはできない。
・就労継続支援B型事業所は雇用契約を結ぶことができない。
・就労継続支援B型事業所は、1日いくらと言う支払い方法と作業量や内容に応じて工賃を支払う方法とがあり、この就労継続支援B型事業所は作業量や内容に応じて工賃を支払う方法を取っていた。
となります。
今回は消費税でよく問題になる「給与」と「業務委託」の応用版ということでしょうか
不服審判所では
「福祉サービスに伴ってお金を渡す給付」
として、納税者の主張が退けられています。
記事によれば、
納税者は、税務訴訟を提訴しますが、国側は今のところ
「前例がない訴訟のため時間がほしい」
として態度を明らかにしなかった
とのことです。
さて、記事の内容だけで判断すると
消費税法上では、
・就労継続支援B型事業所と株式会社との区別はなく、
・就労継続支援B型事業所だからと言って、消費税は課税取引該当しない
という条文はありません。
となると、その取引の実質的内容で判断することになります。
今回の就労継続支援B型事業所の支払方法は、
・作業量や内容に応じて工賃を支払う方法
であり、業務応じた支払方法ですから、契約書等の形式がどうであっても、実質として業務委託に該当するものです。
したがって、当然のことながら、消費税法上課税取引に該当するという結論以外ありえないと思います。
「1日いくらと言う支払い方法」であれば、税務署側の主張である「福祉サービスに伴ってお金を渡す給付」に該当し、消費税はかからないと思います。
今回は、税務署側が実質的な内容をきちんと吟味せず、安易に、結論を出したことによって、誤った判断をしてしまったケースに思えます。
税務訴訟は、納税者側に多大な労力と金銭的な負担が生じます。
税務署側は、誤った判断をしたのであれば、早く、裁判を終結させる努力をしていただければと思ってしまいます。
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