税務調査は怖くない

税務調査を怖いと思っていませんか。税務調査は健康診断と同じです。普通にしていれば恐れることはありません。税金相談、税務調査の対応などを ご希望の方は wonozeimu@gmail.com までお気軽にご連絡ください。

推計課税とは (横浜地裁平成18年1月18日判決の一部)

税務調査で問題を指摘され、課税される金額を確定させる方法として、

・直接的な根拠資料からその根拠資料に基づいて実際の金額を算定する方法

・直接的な根拠資料がなく、いくつかの間接的な証拠に基づいて実際の金額とは違うがおおよその金額を推定して算定する方法

の2つがあります。

実際の金額とは違うがおおよその金額を推定して算定して課税することを推計課税と言います。

 

所得税法人税には、白色申告と青色申告があります。

青色申告は、複式簿記により適切に帳簿等が作成され、保存されることが条件となっていますので、必ず、帳簿に基づいて資料等があることになります。

(なければ、青色申告ができないことになります。)

一方、白色申告は、複式簿記により帳簿等の作成、保存の義務はないので、資料等がないこともあり得ます。

青色申告は帳簿、資料等があることを前提とするので推計課税はされませんが、資料等がないこともあり得る白色申告は推計課税がなされます。

 

実際に、推計課税は、そのような場合になされるのでしょうか。

 

判例では

「申告納税制度の下における納税者は、法の定めるところに従って正しい申告をする義務を負うとともに、その申告内容を確認するための税務調査(質問検査権の行使)に対しては、所得金額の計算の基となる経済取引の実態を最もよく知っている者として、その所得金額を算定するに足りる資料を提示し、その申告が正しいことを税務職員に説明する義務を負うものというべきである。そして、帳簿等の備付けなどをせず、また、税務調査に際し帳簿書類の提出を拒むなどした納税者に対して、国が課税を放棄することは、正しい申告をしている納税者と比較して、租税負担の公平を欠くこととなるから、上記のような納税者に対しては、各種の間接資料に基づく推計の方法により、更正又は決定をすることができることを規定したものである。

所得税課税は、納税義務者の実際の所得に対してされるのが原則であるから、税務署長が、推計の方法によって納税義務者の所得額を算定し、その結果に基づいて更正又は決定をすることが許されるのは、納税義務者が収支を明らかにする帳簿書類を備え付けていないとか、帳簿書類の備付けはあるがその記載内容が不正確であって信頼できないものであるとか、納税義務者が税務署長が行う税務調査に非協力的であるため帳簿書類を検査できない等の事情があって、納税義務者の実際の所得の把握が不可能又は著しく困難な場合に限られ、上記のような推計課税の必要性がないのにされた更正等の課税処分は、原則として、違法となると解するのが相当である。」

とされています。

 

簡単に言うと

推計課税は、

・収入や支出が分かる帳簿書類がない

・帳簿書類があるがその内容が信頼できない

・税務調査に協力せずに帳簿書類を見せない

などにより、実際の所得が分からない場合に行われます。

 

推計課税がなされる方がいいのか、推計課税がなされない方がいいのかは、それぞれの納税者の判断になりますが、推計課税がなされるという状況の多くは、税務調査が長くなり、その対応を行うことに相当な時間がかかります。

そのことを考えると、きちんと税務調査を対応して、税務調査に対応する時間を少なくし、その分、事業の成長に労力を向けた方がいいと思います。

 

判例

タインズから出典

 

・税金相談
・税務調査の対応などを
ご希望の方は
wonozeimu@gmail.com
までお気軽にご連絡ください。