税務調査は怖くない

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調査手続の適法性の立証は、調査担当者の証言が決め手=そのためには、調査経過の記録が必要(001) (平成17年11月)

東京国税局課税第一部国税訟務官室では、税務署職員に対して「調査に生かす判決情報」と題して「調査手続」や「証拠の収集と保全」など調査等に役立つポイントについて、具体的事例や判例を紹介しながら、数回に分けて発信しています。

すべてが正しいとは思えませんが、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と言います。税務署がどのように考えているのかを知ることは重要です。

 

納税者意識の高まりを受けて、課税処分の所得金額の争いにとどまらず、調査手続の違法性を併せて争う事例が増加していることから、税務署に以下のように注意喚起をしています。

 

<参考判決 東京地裁平成17年9月14日判決(国側勝訴)>

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調査手続の適法性が争点の一つとなった場合は、相手方を調査対象者として選定したことから臨戸時・電話時・来署時・反面先等でのやりとりなどの更正までの経過について、調査担当者の申述書の提出と法廷での証言による立証を行わねばならない。

しかし、証言をしても、相手側は事実が違うと証言し、調査を見聞きしていたとする者を何人も証人として呼んだり、当時のやりとりをメモしていたとする手帳などを証拠として提出することもある。そうした場合、多勢に無勢で物証もないこちらの証言を、裁判長は簡単には採用できない。また、担当者に当時の記憶が残っていないと主張も反論もできない。

そのようなことから、調査手続を争点とした訴訟が確実な事件については、調査担当者は、納税者とのやり取りや調査経過がどのようであったかについて、何らかの記録を残しておく必要がある。

納税者とのやり取りや調査経過について立証するためには、当時に作成された報告文書を証拠として提出できることが望ましい。したがって、事案に応じて「調査報告書」(課税第一部審理課「証拠資料の収集と保全」参照)を作成することを検討すべきである。

なお、「調査報告書」は、本来は「聴取書」に代えて作成するものであるが、必要に応じて納税者とのやり取り等についての報告として利用しても差し支えなく、そのような報告書があることで、調査担当者の証言の信憑性が担保され、また、証言するに当たっての心理的な負担も軽減されることと思われる。

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つまり、調査担当者は、納税者とのやり取りや調査経過がどのようであったかについて「調査報告書」を作成して、納税者に対抗できるように求めています。

ということは、調査手続を争点とする国税不服審判所や裁判になったときには、納税者側で考えると「調査報告書」に対抗しなければなりません。納税者側においても、「調査報告書」と同じような書類を作成しておく必要があることになります。

調査手続が争点となりそうなときには、税理士と納税者との間で、税務調査の状況報告書等のやり取りをするなどして、税務署に対抗できるようにする必要があります。当然のことながら、後から作成したと思われないよういにメールなどを利用して作成日時の担保も必要になると思います。

 

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