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契約書の日付の遡及記載は、それだけでは契約書が架空であることにはならない!-重加算税認定のポイント- 011 (平成19年6月)

東京国税局課税第一部国税訟務官室では、税務署職員に対して「調査に生かす判決情報」と題して「調査手続」や「証拠の収集と保全」など調査等に役立つポイントについて、具体的事例や判例を紹介しながら、数回に分けて発信しています。

すべてが正しいとは思えませんが、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と言います。税務署がどのように考えているのかを知ることは重要です。

 

納税者意識の高まりを受けて、課税処分の所得金額の争いにとどまらず、調査手続の違法性を併せて争う事例が増加していることから、税務署に以下のように注意喚起をしています。

 

<参考判決 東京地裁平成17年7月21日判決(国側一敗・控訴後確定)>

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不自然な契約書であったとしても、裁判所は「弁論の全趣旨」により事実関係を総合的に判断する

▼ 判決の事実認定は、原告・被告双方の主張立証に基づき総合的に判断される判決は、裁判官の自由な心証で決められ、証明責任を負っている国側の証拠が一面的で、ほかに有力なものがなかったり、相手側がそれを揺るがす主張立証を行えば、裁判所は「弁論の全趣旨」から総合的に判断し、課税要件事実の存在に確信が持てない場合は、国側を敗訴させる。したがって、単に契約書等の日付が遡って記載されているといった事実を把握していたとしても、それが取引を仮装したとする絶対的な決め手になるものではない。

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重加算の要件は

・納税者がその国税課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装

・その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき

となっています。

 

このことは、形式的なこと(契約書等の日付が遡って記載された等)に誤りがあったとしても、重加算が課せられるということを言っているのでしょうか。

 

東京地裁平成17年7月21日判決では、税務署側は契約書等の日付を遡って作成していたり、取締役会の議事録も遡って作成したりしていることから、その契約については実体がないとし、契約書等を仮装したとして重加算を主張しましたが、裁判所は、実際にその契約は実体があるとして、税務署側の主張を退けました。

 

このことから、重加算の要件は、形式的なことではなく、実体として仮装、隠蔽がなされたかどうかになります。

 

契約書等の法的形式もきちんと作成し、整合性があるようにしておくことは必要です。

 

しかし、実際には、契約書等の法的形式が後付けで作られることも多くあります。

 

形式がきちんとしていなかったとしても、実態どおりに申告をしているのであれば、きちんと税務署にその主張をして、税務署に正しい判断をしてもうらようにすることが必要です。

 

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