「無予告調査、反面調査は違法」という納税者に対して」-質問検査権についての理解- 006 (平成18年4月)
東京国税局課税第一部国税訟務官室では、税務署職員に対して「調査に生かす判決情報」と題して「調査手続」や「証拠の収集と保全」など調査等に役立つポイントについて、具体的事例や判例を紹介しながら、数回に分けて発信しています。
すべてが正しいとは思えませんが、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と言います。税務署がどのように考えているのかを知ることは重要です。
納税者意識の高まりを受けて、課税処分の所得金額の争いにとどまらず、調査手続の違法性を併せて争う事例が増加していることから、税務署に以下のように注意喚起をしています。
<参考判決 横浜地裁平成18年1月18日判決(国側勝訴)>
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無予告調査」及び「反面調査」の適法性
○ 調査に際して調査日時を事前に通知することは、質問検査の法律上の要件ではなく、その告知をするか否かについては税務職員の合理的な裁量に委ねられている。
○ 反面調査の対象者の範囲、順序、方法等をどのようにするか等については、当該調査の必要性と相手方の私的利益とを比較衡量し社会通念上相当な限度内である限り、税務職員の合理的な選択に委ねられている。
調査の必要性・適法性の立証
○ 無予告調査にしろ、反面調査にしろ、訴訟となった場合には、調査に係る職員の判断が合理的であったか否かが問われることになる。その場合には、往々にして原処分担当者が調査経緯等を法廷で証言することとなるが、自分の判断等を確信を持って証言できるよう調査経過の確実な記録を残しておくことが大事である。
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税務調査は、通常、連絡があってから行われます。
しかし、現金商売だったり、不正な取引を行っていたりした場合、連絡がなく、突然、税務職員が来て、税務調査が行われることがあります。
この場合、どのような対応と取ることがいいのでしょうか。
「無予告の税務調査は手続き違反で違法だ。」と言ったとしても、必要があれば、無予告の税務調査は認められていますので、このようなことを言ったとしても無駄なことで、はじめから税務調査を拒否することは避けてください。
ただ、すべてを受け入れるのではなく、
・顧問税理士がいたら顧問税理士に連絡して、立ち合いに来てもらう。
・業務に支障が生じるのであれば、当日は業務に支障がない範囲で税務調査を受け、残りの税務調査は後日にしてもらう。
などを検討してください。
なお、ここで、重要なのは、「税務署の業務(税務調査)」に支障がない範囲でなく、「納税者側の業務」に支障がない範囲です。
無予告の税務調査は必要があれば認められているので、税務署側は何かあるだろう(必要がある)と思って無予告で税務調査に来ています。
したがって、税務署が意図しているものがなければ、終日、税務調査を行うことになります。
通常であれば、当日行わなければならない業務はあるはずであり、一定の時間以上、税務調査が行われれば、業務に支障が生じるはずです。
税務調査開始前に、
「税務調査には協力しますが、本日はこのような業務があり、何時までは税務調査に対応し、それ以降は後日にして下さい。」
と、きちんと説明し、税務職員に納得してもらうことが望まれます。
・税金相談
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