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財産評価通達ではなく鑑定評価での相続財産の評価・総則6項の適用(令和4年4月19日最高裁判決)その2

先日、勉強会の中で、この最高裁の判決の話題が出ました。この話題の当初は、やはり、判決文のみからわかる事実関係だけで話が進んでいましたが、実際の事実関係(2020年9月7日の記事を参照してください)を説明したところ、色々な議論がなされました(結論は、否認される具体的な線引きが分からず、この判決と同じような相続の場合には、評価通達で評価するか、鑑定評価で評価するか納税者に提案し、評価通達で評価した場合には納税者にリスクがある旨説明、書面にて確認書等を取るしかないかとなりました)。その中で、印象に残ったのは、今回の判決では、事業の経済的合理性の判断が全く入っていないということです。

個人であろうが法人であろうが、事業を行う上での判断基準は、基本、経済的合理性に基づいて判断することだと思います(一部、経済的合理性に基づかない取引を行うことはありますが。。。)。法人の税務訴訟の中で、取引の経済的合理性の判断により、納税者が勝訴したり敗訴したりしているケースがあります。であれば、個人であっても、経済的合理性の判断基準が入ってもいいのではないかと思います。

このケースは、事業承継を見据え、低収益物件から高収益物件への賃貸物件の入替えや新たな物件を購入するための既存物件の売却の中で相続が生じたものであり、物件の売買は事業を行う上で経済的合理性の上で行っているものです。単純に一部の物件の購入、売却のみを切り取って見た場合には、相続税対策で行ったもので、税の公平性を著しく阻害すると見えるのかもしれません。しかし、一連の取引等を見た場合には、経済的合理性の判断のもと取引等が行われています。

高齢で不動産賃貸事を行っている方は、経済的合理性を度外視して、物件の購入、売却をするなということか、もしくは、購入した場合には評価通達でなく鑑定評価で評価しろというということなのかとも思ってしまいます。

実際にどうなるかわかりませんが、高齢者でない方が、同じような取引を行って、亡くなった場合には否認されなかったのではないかと解説している税理士もいらっしゃり、高齢者とそうでない者で違いが出るのは税の公平性を考えた場合どうなのかとも思います。

 

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